ロレックスを作るしくみ
そして残り百九十銘柄の平均価格は一万一一般的には日経平均株価が一万七○○○円を割り込めば、日本の各銀行の保有株式の含み益がゼロになり、都銀クラスでも不良債権の償却ができなくなるとされている。
しかしその議論には大きな欠陥がある。 銀行が保有しているのはその三十五銘柄ばかりではなく、すでに値下がりした普通の株式も多い。
したがって銀行の持ち株の含み益などとっくに消えてなくなっている可能性は否定できない。 要するに大部分の銀行や生保が、もはや不良債権を処理する能力など残っていないということである。
仮に日本の金融機関の実態がそうだとすれば、保有株式の含み益の吐き出しで不良債権を償却する道を絶たれた銀行は、株式でも土地でも手当たり次第に処分するしか道は残されていない。 そして、それに先立って行なわれたのが取引先への支援中止であった。
一九九七年になって発生したT興業・T建設・大都工業などの中堅ゼネコンの倒産はその結果として見れば確かに納得がいく。 そして一連の金融機関の破綻のあとは、有利子負債と債務保証を一千億円単位で抱えているゼネコンの倒産へと拡大していく可能性も高いと言わざるを得ないのである。
九九七年四月から消費税がアップきれ、そして減税措置が廃止された結果、国民の負6担は合計で七兆円増えた勘定となった。 結果、四月以降は住宅、自動車、家電の受注が落ち込み、デパート、スーパーの売り上げも減少した。
そしてその景気減速が六月になっても七月になってもとまらない。 そして国民負担がさらに二兆円増えることになる九月の医療保険個人負担率のアップを前に、一九九七年前半、五兆円も買い越しして日本の株価を支えてくれていた欧米の機関投資家も八月には売り一辺倒に転じ、一斉に日本から退却することになった。
それが八月十一日の日経平均七八○円安の急落につながっていくのだが、このような状況のなかで、九月中間決算を控えた日本企業が慌て出したのである。 九月末日の株価をもとに持ち株を評価し、低価法で決算している会社の場合は評価損を計上しなければならない。
消費の低迷で売り上げが減っているところへ、持ち株の評価損が出てしまっては大幅な減益となる。 株価が下落傾向にある場合、現状の日本のメカニズムでは株式にしる不動産にしろ、保有していることが決算上ではマイナスになるのである。
そこで株式の売りムードが一挙に広がっていった。 一方、一九九七年夏以降のニューヨーク株式はダウが八○○○ドル台に突入して調整局面に入り、上がったり下がったりをくり返していた。
そしてニューョーク株式と日本の株式の関係は、ニューョーク株式が上昇しても東京は影響を受けず、ニューョーク株式が下落すると東京も下落するという、従来とはまったく異なる関係となっている。 ブラックノベンバーを経験したあとの日本において、その傾向はさらに強まってきた。
基本的には、実質的に日経平均株価を支える優良三十五銘柄に到達感が見え始め、それらが下落を始めたとき、それが日本株式の本格的な下落局面の始まりである。 日経平均株価は十一月十四日、二年四カ月振りに一万五○○○円を割り込んだが、底値は一万四○○○円なのか、それとも〃底なし沼〃なのか。
住専(旧住宅金融専門会社)、金融機関ときて、あとに残るのは金融機関と深く絡み合うゼネコンであることは誰もが考えるシナリオである。 素直に言えば、今回の大波のなかで〃無傷でいられるはずがない〃のである。
九七年十一月までに、T興業(負債総額三千六百八十一億円)、大都工業(同九百五十二億円)、T建設(同七百七十億円)といった〃中規模〃の倒産はあったものの、収入源である公共事業の削減、中央・地方の財政を含む行政システムの構造改革と絡み合うゼネコン業界の流血革命抜きで、今後の日本金融メカニズムの再生は考えられない。 巨額の債務負担に苦しむゼネコン各社に共通するのは、バブル時期に推進した「造注」路線の失敗である。
当時、公共事業に比べ利益率の高かった民間工事の受注を増やすため、「脱・請け負い」を旗印に、新興不動産会社などに猛烈な営業攻勢をかけたのである。 「受注プロジェクトを創造する」という意味の「造注」である。
この一連のプロセスで、信用力の低い不動産会社にゼネコンが債務保証し、銀行やノンバンクなどの金融機関から融資を引き出した例も多かったのである。 ノンバンクからの電話一本で債務保証の有無の問い合わせがあり、確認すると即座に融資が実行されていった。
百貨店や生保など優良顧客を抱える大手ゼネコンは別にして、準大手・中堅ゼネコンは無理な営業手法をとらないと新規顧客開Tは困難な時代であった。 そして新規顧客のなかには銀行の紹介も数多く含まれていた。
しかしバブル崩壊から歯止めのかからない地価下落の過程で、こうした開発プロジェクトの事業自体が相次いで破綻し、ゼネコンには工事代金の未収に加えて多額の債務保証が残った。 これがゼネコン不良債権の基本的な構図である。
現在の会計基準では、出資比率が一○%未満で、なおかつ売上高・利益・総資産などが親会社・連結子会社合計の三?五%以下であれば連結対象外にできる。 大手ゼネコンの多くは、多額の債務や不良債権を抱えたグループ会社を連結決算の対象から外している。
こうした「連結はずし」が広く行なわれてきた背景にあるのは「信用低下の恐怖」にほかならないが、逆にこうした情報開示にうしろ向きなゼネコンの体質が、現在の危機の土壌を育んだとも言える。 ただし、この「連結はずし」も一○○○年三月期をメドに大幅な転換を迫られる。
企業会計審議会(蔵相の諮問機関)が会計制度を単独から連結重視に切り替え、開示強化の方向を打ち出しているためである。 役員・従業員構成などでグループ企業かどうかを判断する「実質的支配基準」などが導入されれば、従来の手法は通じない。
こうして大蔵省も、積極的にゼネコンの実態解明に乗り出してはいるが、不良債権に苦しむ準大手・中堅ゼネコンは、財務の逼迫と会計制度切り替えの両面で、まさに断末魔の苦しみのなかにいるのである。 かつてゼネコンは「カネと票」の両面で自民党一党支配を支えてきた。
大手ゼネコンを頂点とする業界一枚岩のピラミッド構造が形成され、ゼネコンが公共工事を請け負い、下請け業者に仕事を分配するメカニズムができあがっていた。 しかし九三年に発覚した一連のゼネコン汚職で多数の逮捕者を出したことをきっかけに、ゼネコン各社は政治家との付き合いに一線を画すようになった。
一方、特定地域に地盤を持つ中小業者は、小選挙区制のもとで政治家とのつながりを強めていった。 こうした大手・中小それぞれの、政治家との距離感がゼネコン業界内の力関係にも影響を及ぼし、ピラミッド型構造を崩し始めたのである。
道路舗装工事で横行する「上請け」と呼ばれる商習慣が大手と中小の力関係の変化を象徴している。 政治力のある地元業者が優先的に舗装工事を受注し、実際の工事は丸ごと大手に発注する。
その過程で、優先受注した業者は一五?三○%を懐に収めるといったメカニズムである。 大手には、固定費を吸収できるだけの売上高を確保するために、利益率が低くても上請けを取らざるを得ない事情がある。
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基本的には、実質的に日経平均株価を支える優良三十五銘柄に到達感が見え始め、それらが下落を始めたとき、それが日本株式の本格的な下落局面の始まりである。 日経平均株価は十一月十四日、二年四カ月振りに一万五○○○円を割り込んだが、底値は一万四○○○円なのか、それとも〃底なし沼〃なのか。
住専(旧住宅金融専門会社)、金融機関ときて、あとに残るのは金融機関と深く絡み合うゼネコンであることは誰もが考えるシナリオである。 素直に言えば、今回の大波のなかで〃無傷でいられるはずがない〃のである。
九七年十一月までに、T興業(負債総額三千六百八十一億円)、大都工業(同九百五十二億円)、T建設(同七百七十億円)といった〃中規模〃の倒産はあったものの、収入源である公共事業の削減、中央・地方の財政を含む行政システムの構造改革と絡み合うゼネコン業界の流血革命抜きで、今後の日本金融メカニズムの再生は考えられない。 巨額の債務負担に苦しむゼネコン各社に共通するのは、バブル時期に推進した「造注」路線の失敗である。
当時、公共事業に比べ利益率の高かった民間工事の受注を増やすため、「脱・請け負い」を旗印に、新興不動産会社などに猛烈な営業攻勢をかけたのである。 「受注プロジェクトを創造する」という意味の「造注」である。
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しかしバブル崩壊から歯止めのかからない地価下落の過程で、こうした開発プロジェクトの事業自体が相次いで破綻し、ゼネコンには工事代金の未収に加えて多額の債務保証が残った。 これがゼネコン不良債権の基本的な構図である。
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